2022年6月号
2022/06/24
SKE48「愛を君に、愛を僕に」全曲解説 公演を楽しむ準備はできているか?
Forty-Eight Times 6月号は、5月27日から始まったSKE48 Team Sオリジナル新公演「愛を君に、愛を僕に」を大特集! ラストとなる特集第3弾は全曲解説です。オフィシャル写真に加えて、オリジナルカットも掲載しています。
公演やCDについて知りたい方は SKE48 愛を君に、愛を僕に|SKE48 OFFICIAL WEB SITE まで。
配信で公演映像を見たい方はDMM.com SKE48 LIVE!! ON DEMAND で。
開演前に流れるいつもの音楽。ほかの公演のと違い、overture直前に、円陣の声が聞こえてくる(6月20日現在)。
Arrangement:小室哲哉、酒井陽一
公演タイトル楽曲からスタート。ミュージックビデオ はワンカメラ、ノーカットで収録され、公開中。MV衣装には、メンバーの好きなカラーがワンポイントで入れられている。
青海ひな乃、野村実代をダブルセンターに置き、出演メンバー全員が分かるように横一列でスタート。歌パートの割り振りは、2人か3人にまんべんなく分けられていて、個々の見せ場がしっかりと作られている。
公演オープニング衣装は青系と赤系の2色。
赤系=荒野姫楓(初日昼)、石塚美月(初日夜)、井上瑠夏、野村実代、上村亜柚香、竹内ななみ、中坂美祐、平野百菜、松本慈子。
青系=青海ひな乃、赤堀君江、石黒友月(初日昼)、大谷悠妃(初日昼)、北川愛乃、鬼頭未来(初日夜)、坂本真凛、杉山歩南、都築里佳(初日夜)、仲村和泉。
衣装は通常、ステージに一度に出られる16着分しか用意されないが、スタッフの提案でこの衣装に限っては19着が新調された。
サビ前のメロディーの跳躍や、2コーラス目への入り方、大サビ直前の間奏のアレンジに小室楽曲らしさがあり、聴き進んでいくうちに耳に残り、脳内で何度も再生される中毒性がある。コーラスには小室氏も参加。
上半身の動きが激しく、ただ振りをこなしているだけでは「愛」が伝わらない振り付け。「手のひらから 夢という光」の歌詞で、右手を高く掲げて光を出す振りでは、手だけでない表現力が求められている。
Arrangement:小室哲哉、藤田宜久
前曲のラストが後ろ向きに手を上げた状態で終わり、リーダー松本慈子と、副リーダー上村亜柚香が、それぞれ振り向いてソロで歌い出すところから始まる。
「この公演を待っていた」という意味にも聞こえる歌詞では、待ち遠しかった気持ちと喜びを爆発させる表現が求められる。歌のパート割りが複雑で、ポジション移動がとても難解。
やっと歌い踊ることができる気持ちや、これからも歌い続けたい気持ちを表現することで、観客との一体感が増すことができる楽曲だ。
ミディアムテンポのポップスで、小室テイストは薄め。48グループの劇場公演の1曲として違和感のない仕上がりで、チームKII「ラムネの飲み方」公演の「お待たせSet list」的な位置づけともいえる。
Music:木根尚登
Arrangement:小室哲哉、酒井陽一
照明が暗転してディスコ調アレンジのイントロが流れ、激しさと疾走感を予感させる。
短時間で衣装を着替えたメンバーが再登場し、平野百菜と杉山歩南が飛び出すように、元気いっぱいのパフォーマンスで歌い出す。
前2曲は、上半身やフォーメーション・チェンジが難しかったのに対し、下半身の屈伸を含んだ振り付けが多い。メンバーは、休む間もなく激しいダンスを続ける。
「旅立つ準備はできてるか? Are You Ready?」と、自分たちに問いかける歌詞にふさわしいパフォーマンスをするために、首振り、蹴り、しゃがみ、裏取りステップと、難解な振り付けのオンパレードとなっている。
ここで自分たちの覚悟を示すとともに、観客に対して「公演を楽しむ準備はできているか?」とメッセージを送っている。目の前で人が走りすぎ、風が吹き抜けていくときに感じる爽快感。まさにそんな気持ちにさせてくれるパフォーマンスだ。
衣装は赤、オレンジ、緑、紫のラインが入ったアーミー柄生地の、腹出しノースリーブにスカート。衣装のラインの色は以下。
赤:井上瑠夏、杉山歩南、竹内ななみ、野村実代。
オレンジ:青海ひな乃、上村亜柚香、大谷悠妃(昼公演)、都築里佳(夜公演)、松本慈子。
緑:荒野姫楓(昼公演)、石黒友月(昼公演)、石塚美月(夜公演)、北川愛乃、鬼頭未来(夜公演)、中坂美祐。
紫:赤堀君江、坂本真凛、仲村和泉、平野百菜。
間奏の照明や曲調は、チームKII「ラムネの飲み方」の「ディスコ保健室」を思い出させる。
Arrangement:小室哲哉、藤田宜久
イントロの8小節の単純なコードだけで、TKメロディーとはっきり伝わるほどに小室ワールド全開の楽曲。単純なコードとベースライン、懐かしさを感じるアレンジで、タイムワープした気分になれる。小室氏のコーラスが、ワープ感をより高めてくれる。
音だけ聴いていると「ノリの良い楽曲」という印象で、そこに振り付けが加わると、とてもダイナミックな楽曲に変身する。
海の波が見せるさまざまな景色を、振り付けで表現するために、歌のパートとダンスのパートのフォーメーションが、複雑で目で追い切れないほど。定点や引いた視点で見ると、その波の複雑さ、美しさがよりよく分かる。振り付けが楽しかっただろうこともよく伝わってくる。
楽曲センターの青海ひな乃の勢いやたくましさが、チームS全体の元気で明るい雰囲気を決定づけている。
Music:小室哲哉
Arrangement:小室哲哉、ユキナリショウジ
初日昼公演:大谷悠妃、杉山歩南
初日夜公演:石塚美月、杉山歩南
48グループの劇場公演でのユニット曲1曲目は元気な曲、フレッシュさを感じさせる曲が多いが、まさにそのイメージにぴったりハマった曲が来た。
公演楽曲の並べ方や歌割りについては、小室哲哉氏はほぼ関与せず、劇場公演をよく知るSKE48のスタッフによって、完成度の高い公演として作り込まれていった。これはある意味、革命でもある。
秋元康氏プロデュース劇場公演の作り方から脱しながらも、48グループでの劇場公演の構成、良さを引き継ぎつつ新しさも追求した。振り付けについても、全体曲とユニット曲を別々の振付師に依頼したことも革命的だろう。
本公演では、全体曲は牧野アンナ氏、ユニット曲はCRE8BOY(ユニット)によって振り付けされた。テイストはもちろん違うが、公演全体を通して不自然さは何もない。
「恋せよ乙女 エクスプロージョン!」はガチなアイドル曲。風船がふわふわ浮かんでいるように感じるアレンジと、ドラムの加速感でテンションも高まる。リフレインも多く、アイドル曲としての完成度も高い。小室氏の本気を目の当たりにした。
衣装には、リボン柄がプリントされたワンピースにフリルがつき、背中にかわいいリボン。上にはエナメル地でハート型の襟のついた短い上着に、ハートの髪飾り。衣装の色はピンクとライトブルーだ(ピンクは杉山歩南、ライトブルーは昼は大谷悠妃、夜は石塚美月)。
王道アイドルを感じさせる躍動感のある振り付けに、コミカルな要素をふんだんに加え、見ていて楽しいものに仕上がった。
メンバーの間でも話題になったのは「本命 大穴 対抗 行くぞ ! 恋の三連単」の歌詞で、杉山歩南が踊る部分。自分が競走馬になって自分で自分にムチを入れる振りが、何ともかわいらしい。まさに「エクスプロージョン!」(爆発)していた。
(写真12枚)
次ページ以降を含めて写真は合計60枚(独自取材写真多数)
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SKE48「愛を君に、愛を僕に」全曲解説(2) 表現力が増せば一段と輝く曲ばかり に続く
公演やCDについて知りたい方は SKE48 愛を君に、愛を僕に|SKE48 OFFICIAL WEB SITE まで。
配信で公演映像を見たい方はDMM.com SKE48 LIVE!! ON DEMAND で。
01. overture (SKE48 ver.)
Music & Arrangement:尾澤拓実開演前に流れるいつもの音楽。ほかの公演のと違い、overture直前に、円陣の声が聞こえてくる(6月20日現在)。
02. 愛を君に、愛を僕に
Lyrics & Music:小室哲哉Arrangement:小室哲哉、酒井陽一
公演タイトル楽曲からスタート。ミュージックビデオ はワンカメラ、ノーカットで収録され、公開中。MV衣装には、メンバーの好きなカラーがワンポイントで入れられている。
青海ひな乃、野村実代をダブルセンターに置き、出演メンバー全員が分かるように横一列でスタート。歌パートの割り振りは、2人か3人にまんべんなく分けられていて、個々の見せ場がしっかりと作られている。
公演オープニング衣装は青系と赤系の2色。
赤系=荒野姫楓(初日昼)、石塚美月(初日夜)、井上瑠夏、野村実代、上村亜柚香、竹内ななみ、中坂美祐、平野百菜、松本慈子。
青系=青海ひな乃、赤堀君江、石黒友月(初日昼)、大谷悠妃(初日昼)、北川愛乃、鬼頭未来(初日夜)、坂本真凛、杉山歩南、都築里佳(初日夜)、仲村和泉。
衣装は通常、ステージに一度に出られる16着分しか用意されないが、スタッフの提案でこの衣装に限っては19着が新調された。
サビ前のメロディーの跳躍や、2コーラス目への入り方、大サビ直前の間奏のアレンジに小室楽曲らしさがあり、聴き進んでいくうちに耳に残り、脳内で何度も再生される中毒性がある。コーラスには小室氏も参加。
上半身の動きが激しく、ただ振りをこなしているだけでは「愛」が伝わらない振り付け。「手のひらから 夢という光」の歌詞で、右手を高く掲げて光を出す振りでは、手だけでない表現力が求められている。
03. LIVE MASTER
Lyrics & Music:小室哲哉Arrangement:小室哲哉、藤田宜久
前曲のラストが後ろ向きに手を上げた状態で終わり、リーダー松本慈子と、副リーダー上村亜柚香が、それぞれ振り向いてソロで歌い出すところから始まる。
「この公演を待っていた」という意味にも聞こえる歌詞では、待ち遠しかった気持ちと喜びを爆発させる表現が求められる。歌のパート割りが複雑で、ポジション移動がとても難解。
やっと歌い踊ることができる気持ちや、これからも歌い続けたい気持ちを表現することで、観客との一体感が増すことができる楽曲だ。
ミディアムテンポのポップスで、小室テイストは薄め。48グループの劇場公演の1曲として違和感のない仕上がりで、チームKII「ラムネの飲み方」公演の「お待たせSet list」的な位置づけともいえる。
04. 旅立てジャック
Lyrics:小室哲哉、藤井徹貫Music:木根尚登
Arrangement:小室哲哉、酒井陽一
照明が暗転してディスコ調アレンジのイントロが流れ、激しさと疾走感を予感させる。
短時間で衣装を着替えたメンバーが再登場し、平野百菜と杉山歩南が飛び出すように、元気いっぱいのパフォーマンスで歌い出す。
前2曲は、上半身やフォーメーション・チェンジが難しかったのに対し、下半身の屈伸を含んだ振り付けが多い。メンバーは、休む間もなく激しいダンスを続ける。
「旅立つ準備はできてるか? Are You Ready?」と、自分たちに問いかける歌詞にふさわしいパフォーマンスをするために、首振り、蹴り、しゃがみ、裏取りステップと、難解な振り付けのオンパレードとなっている。
ここで自分たちの覚悟を示すとともに、観客に対して「公演を楽しむ準備はできているか?」とメッセージを送っている。目の前で人が走りすぎ、風が吹き抜けていくときに感じる爽快感。まさにそんな気持ちにさせてくれるパフォーマンスだ。
衣装は赤、オレンジ、緑、紫のラインが入ったアーミー柄生地の、腹出しノースリーブにスカート。衣装のラインの色は以下。
赤:井上瑠夏、杉山歩南、竹内ななみ、野村実代。
オレンジ:青海ひな乃、上村亜柚香、大谷悠妃(昼公演)、都築里佳(夜公演)、松本慈子。
緑:荒野姫楓(昼公演)、石黒友月(昼公演)、石塚美月(夜公演)、北川愛乃、鬼頭未来(夜公演)、中坂美祐。
紫:赤堀君江、坂本真凛、仲村和泉、平野百菜。
間奏の照明や曲調は、チームKII「ラムネの飲み方」の「ディスコ保健室」を思い出させる。
05. SURFな最近
Lyrics & Music:小室哲哉Arrangement:小室哲哉、藤田宜久
イントロの8小節の単純なコードだけで、TKメロディーとはっきり伝わるほどに小室ワールド全開の楽曲。単純なコードとベースライン、懐かしさを感じるアレンジで、タイムワープした気分になれる。小室氏のコーラスが、ワープ感をより高めてくれる。
音だけ聴いていると「ノリの良い楽曲」という印象で、そこに振り付けが加わると、とてもダイナミックな楽曲に変身する。
海の波が見せるさまざまな景色を、振り付けで表現するために、歌のパートとダンスのパートのフォーメーションが、複雑で目で追い切れないほど。定点や引いた視点で見ると、その波の複雑さ、美しさがよりよく分かる。振り付けが楽しかっただろうこともよく伝わってくる。
楽曲センターの青海ひな乃の勢いやたくましさが、チームS全体の元気で明るい雰囲気を決定づけている。
06. 恋せよ乙女 エクスプロージョン!
Lyrics:小室哲哉、藤井徹貫Music:小室哲哉
Arrangement:小室哲哉、ユキナリショウジ
初日昼公演:大谷悠妃、杉山歩南
初日夜公演:石塚美月、杉山歩南
48グループの劇場公演でのユニット曲1曲目は元気な曲、フレッシュさを感じさせる曲が多いが、まさにそのイメージにぴったりハマった曲が来た。
公演楽曲の並べ方や歌割りについては、小室哲哉氏はほぼ関与せず、劇場公演をよく知るSKE48のスタッフによって、完成度の高い公演として作り込まれていった。これはある意味、革命でもある。
秋元康氏プロデュース劇場公演の作り方から脱しながらも、48グループでの劇場公演の構成、良さを引き継ぎつつ新しさも追求した。振り付けについても、全体曲とユニット曲を別々の振付師に依頼したことも革命的だろう。
本公演では、全体曲は牧野アンナ氏、ユニット曲はCRE8BOY(ユニット)によって振り付けされた。テイストはもちろん違うが、公演全体を通して不自然さは何もない。
「恋せよ乙女 エクスプロージョン!」はガチなアイドル曲。風船がふわふわ浮かんでいるように感じるアレンジと、ドラムの加速感でテンションも高まる。リフレインも多く、アイドル曲としての完成度も高い。小室氏の本気を目の当たりにした。
衣装には、リボン柄がプリントされたワンピースにフリルがつき、背中にかわいいリボン。上にはエナメル地でハート型の襟のついた短い上着に、ハートの髪飾り。衣装の色はピンクとライトブルーだ(ピンクは杉山歩南、ライトブルーは昼は大谷悠妃、夜は石塚美月)。
王道アイドルを感じさせる躍動感のある振り付けに、コミカルな要素をふんだんに加え、見ていて楽しいものに仕上がった。
メンバーの間でも話題になったのは「本命 大穴 対抗 行くぞ ! 恋の三連単」の歌詞で、杉山歩南が踊る部分。自分が競走馬になって自分で自分にムチを入れる振りが、何ともかわいらしい。まさに「エクスプロージョン!」(爆発)していた。
(写真12枚)
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SKE48「愛を君に、愛を僕に」全曲解説(2) 表現力が増せば一段と輝く曲ばかり に続く