2022年6月号
2022/06/11
SKE48「愛を君に、愛を僕に」特集! 振付師・牧野アンナ氏「毎回勝負にいけば、上がり続ける」
Forty-Eight Times 6月号は、SKE48 Team Sオリジナル新公演「愛を君に、愛を僕に」を大特集! 特集第1弾は、公演の全体曲の振り付けを担当した牧野アンナ先生に、初日公演後に単独インタビュー! チーム作りの過程や、AKB新聞でしか聞けない振り付け制作秘話、小室哲哉プロデュース楽曲振り付けの苦労話、今後の可能性まで3回に分けて、たっぷりとお届けします。
まずは「松本チームS」について。
――振り付けを依頼されて現チームSに初めて会ったときの印象は
初レッスンのときには、彼女たちはまだ「自分たちがSKE48を作っている1人だ」という自覚を持って、そこにいたわけではありませんでした。
14年前。グループ立ち上げメンバーだった初代チームSに対しては、「君たちの言動全てがSKE48というチームを作ることになる。だから、どういうチームにしたいかを、まずはみんなで話し合って、それにふさわしい行動を取りなさい」と伝えました。
「これからは優劣もつくし、人気にも差が出てくる。そうなったときに陰口を言って足を引っ張る人がいれば、そういうチームにもなるし、ポジティブな考えに変えていくチームにすることだってできるよ」と話しました。
だから1期生は「こういうチームになって、SKE48をこうしていこう」と、常に頭に置きながら行動していたと思います。
今のチームSのメンバーは、オリジナル公演をしたことがないし、すでに出来上がっているSKE48の中にポンと入って、言われたことをやって、ただそこにいた状態でした。
そうなると、「いかに言われたことをちゃんとやるか」という集団になってしまって、本人たちの個性も特色も出ないし、独自の思いも持てなくなってしまっていたわけです。
技術的なことではなくて、まずは「SKE48を作っていく覚悟があるのか」を聞きたかったので、「あなたたち松本チームSって何? 今までのSと何が違って、強みは何で、この公演をどうしたいの?」という問いかけから、スタートしました。
――レッスンが進んでいってメンバーに変化は
今のチームSメンバーたちは、私が言ったことをストレートに受け止めて、「どうしたらできるのだろう?」とちゃんと悩んで考えて、行動に移したのです。しかも、全員がです。
3月末のレッスン開始時に課題を突きつけたら、次のレッスンでは、みんなで話し合うようになっていて、「まだ違うよ」とダメ出しすると、またさらに次に改善する何かを持ってきました。
目に見えて変わっていきました。
――2018年4月にプロデュースしたAKB48の「ヤバいよ!ついて来れんのか?!」公演との違いはありましたか?
基本は同じですが、受け手の捉え方が違いました。
AKB48のときはチームではなく、ピックアップされてきたメンバーだったので、皆がそれぞれ違う状態で集まっていました。あの子たちの心に火をつけるためには、何でもしなきゃいけなかった。ゲネプロまでに気持ちを統一させていくことが、本当に大変でした。
Sは、すでにチームとして存在していたので、気持ちの統一させる必要は無くて、最初からあっという間に1つになれました。
――リーダーの松本慈子さんの様子は
最初のレッスンで、「あなたはリーダーとして、どういうチームにしていきたいの? 松本がチームリーダーになったことで、このチームは何が変わったの?」と問いかけました。
最初のレッスンでは、あえて松本を注意することが多かったんですけど、彼女がへこんだ顔をしていたときに、「リーダーが注意されてへこんでいるってことは、ほかのメンバーもそれでいいってことだよね。注意されてやる気がなくなって『落ち込んでいてできません』でいいってことだよね?」と言いました。
「注意されてもへこたれずに頑張るチームSにしたいのなら、リーダーはへこんだ顔をすべきではない」と話をしたんです。
それ以降、彼女はへこんだ顔は一切見せなくなりました。
松本は一番大変だったと思うんです。ソロの舞台出演のためにレッスンにも参加できず、振りも入れられたのは1週間前。ものすごく不安だったはずです。
それでも、注意されることはあっても、言い訳1つせず、強い目で「はい、分かりました」と頑張っていました。言われたことを、しっかり自分なりに受け止めて「私はこういうリーダーになろう」と決めて、そこにいると感じました。
――頼もしくもあり、教えがいがありますね
はい。すごく楽しかったです! 振りを作るのは苦しかったですけど(苦笑い)、あの子たちはスポンジみたいに言ったことを吸収して、それをやろうとする。行動に移せるのはすごいことです。
――初日公演の終演後。メンバーたちに「これからは皆が公演を作っていくんだよ」と伝えていました。
松本とは個別に話しました。
「いつも勝つのは難しいし、負ける日も出てくるよ。大勝ちする日もあるけれども、負けたときにはそれを自覚して反省すべきところは反省しよう」と。
「毎回ちゃんと勝負して『今回はうまくできたな』『今日はうまくいかなかったな』と、自分たちで確認さえ取れていれば、たぶん落ちていくことはない。もがき続けていれば、上がり続けるんじゃないか」という話をしました。
――チームSに、SKE48の未来を感じることができましたか
「SKE48って、やっぱりベースはできているんだな」と感じました。
全員がしっかりと「SKE48はここに行きたいんだ!」と目標を持ったら、ファンの方たちも熱い人が多いので、もっと熱くなって、もっと上にいける。
例えば、メンバーが「絶対に紅白出るぞ、絶対にスタジアムでコンサートやるぞ!」と言ったとします。そのためには、劇場公演に来たお客さん皆を虜(とりこ)にしていき、ファンをどんどん増やしていって、自分たちの力で目指したところへ行くことができる。そんな勢いはあると感じました。
今回ほかのチームでも新公演ができるので、それがいい形になってくると、また新しい何かが起こるんじゃないかなと、わくわくした気持ちになれました。
SKE48 愛を君に、愛を僕に|SKE48 OFFICIAL WEB SITE
次ページ以降は「愛を君に、愛を僕に」公演振り付け秘話、小室哲哉プロデュース楽曲振り付けの苦労話、公演の未来や指導方法、アイドルとしての心構えについてについて語ります。
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SKE48「愛を君に、愛を僕に」特集! 牧野アンナ氏「生きるか死ぬかは青海次第」 に続く
まずは「松本チームS」について。
1期生はSKE48のことが常に頭にあった
――振り付けを依頼されて現チームSに初めて会ったときの印象は
初レッスンのときには、彼女たちはまだ「自分たちがSKE48を作っている1人だ」という自覚を持って、そこにいたわけではありませんでした。
14年前。グループ立ち上げメンバーだった初代チームSに対しては、「君たちの言動全てがSKE48というチームを作ることになる。だから、どういうチームにしたいかを、まずはみんなで話し合って、それにふさわしい行動を取りなさい」と伝えました。
「これからは優劣もつくし、人気にも差が出てくる。そうなったときに陰口を言って足を引っ張る人がいれば、そういうチームにもなるし、ポジティブな考えに変えていくチームにすることだってできるよ」と話しました。
だから1期生は「こういうチームになって、SKE48をこうしていこう」と、常に頭に置きながら行動していたと思います。
SKE48を作っている自覚がなかった松本チームS
今のチームSのメンバーは、オリジナル公演をしたことがないし、すでに出来上がっているSKE48の中にポンと入って、言われたことをやって、ただそこにいた状態でした。
そうなると、「いかに言われたことをちゃんとやるか」という集団になってしまって、本人たちの個性も特色も出ないし、独自の思いも持てなくなってしまっていたわけです。
技術的なことではなくて、まずは「SKE48を作っていく覚悟があるのか」を聞きたかったので、「あなたたち松本チームSって何? 今までのSと何が違って、強みは何で、この公演をどうしたいの?」という問いかけから、スタートしました。
悩んで考えて行動に移した
――レッスンが進んでいってメンバーに変化は
今のチームSメンバーたちは、私が言ったことをストレートに受け止めて、「どうしたらできるのだろう?」とちゃんと悩んで考えて、行動に移したのです。しかも、全員がです。
3月末のレッスン開始時に課題を突きつけたら、次のレッスンでは、みんなで話し合うようになっていて、「まだ違うよ」とダメ出しすると、またさらに次に改善する何かを持ってきました。
目に見えて変わっていきました。
――2018年4月にプロデュースしたAKB48の「ヤバいよ!ついて来れんのか?!」公演との違いはありましたか?
基本は同じですが、受け手の捉え方が違いました。
AKB48のときはチームではなく、ピックアップされてきたメンバーだったので、皆がそれぞれ違う状態で集まっていました。あの子たちの心に火をつけるためには、何でもしなきゃいけなかった。ゲネプロまでに気持ちを統一させていくことが、本当に大変でした。
Sは、すでにチームとして存在していたので、気持ちの統一させる必要は無くて、最初からあっという間に1つになれました。
へこんだ顔を見せなくなった松本慈子
――リーダーの松本慈子さんの様子は
最初のレッスンで、「あなたはリーダーとして、どういうチームにしていきたいの? 松本がチームリーダーになったことで、このチームは何が変わったの?」と問いかけました。
最初のレッスンでは、あえて松本を注意することが多かったんですけど、彼女がへこんだ顔をしていたときに、「リーダーが注意されてへこんでいるってことは、ほかのメンバーもそれでいいってことだよね。注意されてやる気がなくなって『落ち込んでいてできません』でいいってことだよね?」と言いました。
「注意されてもへこたれずに頑張るチームSにしたいのなら、リーダーはへこんだ顔をすべきではない」と話をしたんです。
それ以降、彼女はへこんだ顔は一切見せなくなりました。
松本は一番大変だったと思うんです。ソロの舞台出演のためにレッスンにも参加できず、振りも入れられたのは1週間前。ものすごく不安だったはずです。
それでも、注意されることはあっても、言い訳1つせず、強い目で「はい、分かりました」と頑張っていました。言われたことを、しっかり自分なりに受け止めて「私はこういうリーダーになろう」と決めて、そこにいると感じました。
――頼もしくもあり、教えがいがありますね
はい。すごく楽しかったです! 振りを作るのは苦しかったですけど(苦笑い)、あの子たちはスポンジみたいに言ったことを吸収して、それをやろうとする。行動に移せるのはすごいことです。
大勝ちする日もあれば負ける日もある
――初日公演の終演後。メンバーたちに「これからは皆が公演を作っていくんだよ」と伝えていました。
松本とは個別に話しました。
「いつも勝つのは難しいし、負ける日も出てくるよ。大勝ちする日もあるけれども、負けたときにはそれを自覚して反省すべきところは反省しよう」と。
「毎回ちゃんと勝負して『今回はうまくできたな』『今日はうまくいかなかったな』と、自分たちで確認さえ取れていれば、たぶん落ちていくことはない。もがき続けていれば、上がり続けるんじゃないか」という話をしました。
チームKII、Eの新公演で新しい何かが
――チームSに、SKE48の未来を感じることができましたか
「SKE48って、やっぱりベースはできているんだな」と感じました。
全員がしっかりと「SKE48はここに行きたいんだ!」と目標を持ったら、ファンの方たちも熱い人が多いので、もっと熱くなって、もっと上にいける。
例えば、メンバーが「絶対に紅白出るぞ、絶対にスタジアムでコンサートやるぞ!」と言ったとします。そのためには、劇場公演に来たお客さん皆を虜(とりこ)にしていき、ファンをどんどん増やしていって、自分たちの力で目指したところへ行くことができる。そんな勢いはあると感じました。
今回ほかのチームでも新公演ができるので、それがいい形になってくると、また新しい何かが起こるんじゃないかなと、わくわくした気持ちになれました。
SKE48 愛を君に、愛を僕に|SKE48 OFFICIAL WEB SITE
次ページ以降は「愛を君に、愛を僕に」公演振り付け秘話、小室哲哉プロデュース楽曲振り付けの苦労話、公演の未来や指導方法、アイドルとしての心構えについてについて語ります。
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SKE48「愛を君に、愛を僕に」特集! 牧野アンナ氏「生きるか死ぬかは青海次第」 に続く